安瓚はさらに説明を付け加えた。医女であればこの程度の知識は身に着けていなければならないという話だった。立春節に降る雨水は、その性質において春には水蒸気となって発散しているものなので、中気不足と清気不足を補う。そこで、古い本では夫婦が雨水を一杯づつ飲んで結ばれると効経があると書いてあるのである。
男女が結ばれるという話に、まだ若い医女たちはくすくす笑っていたが、安瓚は気にとめない様子で続けた。今度は長雨の雨水について説明した。
「降り注ぐ長雨の雨水にはどういった効験があるだろうか。『本草拾遺』にはこういう解説が書かれている。長雨の雨水はその味が甘く、平坦で毒がなく、それを煮詰めると脾臓と胃を補い、湿り気と熱をなくす効果があるとしているのだ」
次に尋ねたのは露水についてだった。果たして露水にはどのような効験があるのだろうか。最初とは違って医女達は安瓚の話に集中していた。
「露の味はとても甘く、平坦で毒がない。秋の露を更に載せて煮詰めると飴の様になる。いかなる草の上についた露も、日が昇る前に採って使用するとあらゆる病気の治療に良いほか、特に消渇(常に喉の渇きをおぼえる症状)を鎮める効果が大きいと言われている」
薬剤を管理する居所の医女が質問した。
「先生、草ではなく、花の上に降りた露はどのような効験があるのでしょうか」
(169ページ終わり)
男女が結ばれるという話に、まだ若い医女たちはくすくす笑っていたが、安瓚は気にとめない様子で続けた。今度は長雨の雨水について説明した。
「降り注ぐ長雨の雨水にはどういった効験があるだろうか。『本草拾遺』にはこういう解説が書かれている。長雨の雨水はその味が甘く、平坦で毒がなく、それを煮詰めると脾臓と胃を補い、湿り気と熱をなくす効果があるとしているのだ」
次に尋ねたのは露水についてだった。果たして露水にはどのような効験があるのだろうか。最初とは違って医女達は安瓚の話に集中していた。
「露の味はとても甘く、平坦で毒がない。秋の露を更に載せて煮詰めると飴の様になる。いかなる草の上についた露も、日が昇る前に採って使用するとあらゆる病気の治療に良いほか、特に消渇(常に喉の渇きをおぼえる症状)を鎮める効果が大きいと言われている」
薬剤を管理する居所の医女が質問した。
「先生、草ではなく、花の上に降りた露はどのような効験があるのでしょうか」
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