「産婦が赤ん坊を産む前に気を失う場合がある。これを予防するためにはどういう方法があるかな」
「井戸水を反升ほど飲ませると目まいがする症状を抑えることができます」
安瓚はユウオリも向かい側に座らせた。そしてまた質問を続けた。
「『活人心境』に出て来る処方であるが、もし耳の中に痛みがあって苦しんでいる場合にはどういう処方を下すべきだろうか」
今度はチャングムが答えた。『活人心境』については安治享から耳にたこができるくらい教えられていた。
「耳が痛む場合は、包丁を砥石でといで、その水を飲ませると治ります」
「では、蛇に噛まれた毒が腹にまで届いてしまった場合はどうする」
「そのときも、砥石に包丁をといだ水を飲ませます」
安瓚はチャングムも向い側に座らせた。こうしてこの日の取才(チジェ)で選ばれた医女は十二名であった。これらの者は翌日から鍼灸術についての集中教育を受けると、一週間後には希望する部署に配置された。
(174ページ 半分辺りの段落で終了)